1minute Projection Mapping in TOKYO 大会総評

269861131_4799593216773743_5670800296406834062_n第9回目の開催となる今回の「1minute Projection Mapping Competition」は、新型コロナによる1年間の延期の後、満を持して東京での開催ということで、非常に注目度の高い大会となりました。

最初は5ヵ国から始まった本大会も、今や54の国と地域から246のエントリーを頂けるほどに成長しました。なにより参加者の皆さんには非常に高いモチベーションで参加していただけていることを嬉しく思うとともに、とても責任を感じています。この大会はクリエイターの皆さんが自分の表現をアウトプットする場であり、その場を作ることの大切さも改めて感じました。クリエイターの視点、アイディア、表現したいことというのは、人々が本質的に言いたいことや時代を代弁してくれますし、それがこうした機会を通じて直接人々に伝わり、感動を呼び起こす。ますますそうしたクリエイターたちがもたらす表現やそれを体験する時間の価値は上がり、必要不可欠なものとなってきています。

いま、コロナウィルスの感染症拡大によって世界が分断されていています。この大会も本来であれば海外の審査員やファイナリストの皆さんも同じ場所に集まって一緒の時間を共有するはずでした。それができない時代でしたが、今回はオンラインで繋がりながらも開催を実現できたこと、逆に世界やクリエイター達との距離に負けない熱量と温度感も感じることができ、とても貴重な機会になったと感じました。「1minute Projection Mapping Competition」と「TOKYO LIGHTS」を通じて、これからもこのような繋がりを持てる場を、引き続き提供していきたいと思います。

さて、日本の首都東京で、光の祭典と合わせての大規模開催となり、過去最多のエントリー数や、非常に質の高い作品群が集まりました。コンペティションとしても、プロジェクションマッピングのショーとしても、これまで以上のとても充実した内容となりました。「HOPE/希望」をテーマにしたことで、世界中のクリエイターがこの「希望」という言葉について考え、表現し、それを伝える場となった今回は例年以上に各作品に製作者の「人格」や「気持ち」が乗っていると感じました。ファイナリストを決める選考の段階でも、絞り込まねばならないことは非常に辛い作業でした。できるならもっと多くの作品を上映したいところでしたが、この「希望」への気持ちやエネルギーをより強く感じられた作品が、審査員によって選考されたと思います。

スクリーンとなった聖徳記念絵画館は歴史と由緒のある美しい建築で、かつ日本の貴重な文化財でもあります。この建築や空間を活かすには経験と想像力をとても必要とする作業です。しかしこの経験は時に想像力への障壁となることもあります。この大会では経験豊かなクリエイターはそうした自分の殻を破ることが求められ、また若手のクリエイターは経験に頼らない大胆な発想で挑むという構造になってきています。「こうあるべき」という壁を超えた先をクリエイターは目指すことになり、そこへ向かって審査員の琴線に触れた作品がグランプリをはじめとした各賞に輝きました。


グランプリ 及び オーディエンス賞:「THROUGH THE NIGHT」THE FOX, THE FOLKS(インドネシア)
今回のグランプリとオーディエンス賞を獲得した「THE FOX, THE FOLKS」の作品は創造性や新鮮な感覚を感じさせるものでした。モノトーンのイラストで表現された暗い夜を超えて、朝日が昇るようにさーっと明るく彩られていくシーンは、多くの人たちの心に温かいものをもたらしてくれました。3DCGやジェネレート系の映像表現が主流の昨今にあって、アナログで手触り感のある「絵」を用いた手法に振り切り、かつ建築の形状を生かしたレイアウトやカット割り、トランジションなども小気味良く、1シーン1シーンが一つの絵として成立する緻密な作品でもありました。
動画:https://youtu.be/fe_VTGNhbS8


準グランプリ:「Alegria」Romera Diseño e infografia SL (Los Romeras)(スペイン)
準グランプリの「Los Romeras」の作品はスペインの民族音楽を主軸にしたシンプルで力強い作品でした。赤と白という色彩に絞り込みながら、リズムと抑揚に合わせて丁寧に作られた全てのシーンがとても心地よく、フィナーレまで駆け抜けるような爽快さでした。そして「人が喜び楽しむエネルギーこそが希望」だという情熱が伝わる作品で、会場で多くの人を魅了しました。
動画:https://youtu.be/Bs7fLAtrDnQ


審査員賞:「Arco Iris」 Felix Frank(ドイツ)

審査員賞を獲得したドイツの「Felix Frank」の作品はとにかくシンプルで美しい世界をじっくり構築し、静かで大きな感動を呼びました。ピアノの旋律から始まるシンプルな導入を経て、弦楽器の空間性が膨らむような音へとじわりじわりと広がり、見る人の心の中に入り込んできました。まるで見上げた星空の中に自分が溶けて宇宙に同化してしまうかのような体験をもたらし、暗い中に微細に光る微かな点が動くと、繊細でありながらも宇宙的なスケールを感じてしまう、不思議で美しい作品でした。
動画:https://youtu.be/1NU5PF276Ug


Tokyo Tokyo賞:「ジダイノテ Hands of New Age」01iMAGE / Noguchi Kazunobu(日本)

Tokyo Tokyo賞を獲得した「01iMAGE/Noguchi Kazunobu」 の作品は楽しく、そして音楽と共に小気味のいいリズムと変化が計算されていました。プロジェクションマッピング的にはやや物足りないものはありつつも、それを補うモーショングラフィックデザイン気持ちのいい動きや鮮やかな色彩、そしてストレートに伝わる演出が観客を魅了し、人気を博しました。
動画:https://youtu.be/5O7RWy-2GMY


受賞作品以外も本当に素晴らしい作品ばかりで、審査員からももっとピックアップしたいという声があがりました。5賞のみに絞らねばならないこと自体がとても心苦しいことでしたし、ファイナリストに残った作品はそれ自体が素晴らしい作品として認められていることの功績です。最終的には技術的なこと以上に、クリエイターの挑戦する姿勢が賞を採択する結果となりましたが、これは今後の大会でも同じく指針となってきますし、こうした大会ではクリエイターに最も求められる方向性の鍵となると思います。

結びに、本大会を開催するにあたりご尽力いただいた多くの関係者の方々、ご来場いただいた皆さまや地域の皆さま、そして何よりも参加してくれたクリエイターの皆様に心より感謝を申し上げます。

1minute Projection Mapping Competition
総合プロデューサー 石多 未知行

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